雨のち晴れ


八瀬さんはそう言うと佐倉に電話を渡したんだろう。

俺の耳に佐倉の声が聞こえる。

『じゃ、失礼します。』

その言葉で、俺は我に帰り、

「あぁ、突然悪かったな。」

とだけ返して電話を切った。

これで全てがうまく行けば、親父も目が覚めるかもしれないな。


「疾風、入るぞ?」

「兄貴?空いてるけど。」

扉を空けて入って来たのは、神楽ではなかった。

「、あさ、ひ?」

前言撤回。全てがうまく行くはずなんかない。

「疾風ー!入るぞ!…遅かったか。」

なんで、ここに旭がいる。

なんで、ここに、旭が、いるんだ?

「旭、一旦自分の部屋に行け。疾風、落ち着け。」

「えー、俺、悪いことしてないじゃん。」

「神楽にぃ…」