そして俺たちは平穏な暮らしが戻ってくるはずだった。
「恭介、おかえり。」
兄貴が愛理をあやしていた。
それに仕事にしては早い帰りだ。
「親父が、死んだ。」
「は?」
信じられないと言うより、信じたくないと言うより、なにより、俺はわからなかった。
「トラックとぶつかったって。…葬式の準備するから、愛理を頼む。」
「…わかった。」
まてよ、詳しく聞かせろよ、なんて言葉は出て来なかった。
兄貴の顔がものすごくやつれていた。
涙の跡もない。
ただ無表情だった。
兄貴が無表情のまま、また全ては通りすぎるかのように終わった。
兄貴が喪主をつとめ、俺は涙しかでなくて、声なんかでなくて。
ただ、泣いてばかりいたら、全てが終わった。
それから、一週間くらい経った日のことだった。


