始まった。しぃと、平助の1on1.
一年は、平助が勝つと信じてるようだ。
まぁ、今は手を抜いてるな。しぃ。
しぃは、県代表の、選手くらいなら、男子でも勝てる。
流石に全日本は、五分五分みたいだが。
だから、県代表の、平助くらい、簡単に倒せるのだ。
でも、しぃはあくまで初っ端から本気を出すことはない。
いつ本気を出すのかわからない。
だからこそ、怖い。
「時雨。そろそろ本気だしてくれ。」
「つまんないんだもん。平助のがむしゃらな動き好きだったのになー。予想つかなくて、楽しかったのに予想通りの動きしかしないんだもん。」
よくみると、平助の動きは誰かに似ている。
誰だ……
そうか。しぃに似ているんだ。
「あたしの真似しようたって、本家にはバレバレよ。」
しぃも気づいている。
左に抜けるふりをして右に抜ける、それはしぃの、やり方。
しぃはフェイントが得意だ、
あの、フェイントに引っかかると、まず、しぃをとめられるやつはいなくなる。