「兄貴、ここ教えて。」
大学をでて、すぐに会社員となった兄に、勉強を教えてもらう。
赤点回避のためだけに。
「んー?あーこれはな、こうして、こーするんだよ。」
俺のノートに堂々と書き込んでるが気にしたら負け。いつものことだ。
「さんきゅー。、てか兄貴、今日遅かったな。」
「あー、ちょっとトラブルが起こってな。俺がやらかしちゃったから対処してたってわけ。まぁ、なんとかなったけどな。」
親父は単身赴任で居ないし、お袋は妹を身籠ってるから、体調のいい時だけうちのことをしに、祖父母の家からこっちに来る。自分の息子の嫁に大変だろうから、つわりのひどい間だけでもうちでゆっくりしていったら?なんて、祖母が言うから、遠慮してたものの、甘えてしまったらしい。
まぁ、それでいいならいいんだけど。
つまり、俺と兄貴のほぼ二人暮らし生活。
「風呂沸いてるけど、飯は食って来た?」
「食ってないな。恭介作ってんだろ?」
「冷蔵庫にあるから、温め直して食べて。兄貴の好きな肉じゃがだから。」
なんだかんだで、働いた金を自分のためだけじゃなく、この家のために貯金したり、俺にお土産と称して好物を買って来たり、兄貴は、気を使いすぎるから。
たまには、俺も気を使わないと…。


