「疾風、おめーが、知りたいのは、あんちゃと、おらの、妹のことかや?(疾風、お前が知りたいのは兄貴と俺の妹のことか?)」
「あぁ。親父が妹さんを探し回ってる。」
叔父さんは頷いて、車を走らせた。
初めて行く、叔父さんの家。もとい、親父の祖父の家。
「おらたちの昔住んでた家は人にくれちまったから、中は見えねぇけど、外はまだ残ってるから、見えるぞ。」
親父が住んでた町…。
親父はここで生活して、ここで大きくなって、ここで…
ここで、妹たちと別れた。
「あんちゃは、就職してから、親父たちが死ぬまでは、一緒に暮らしとったんだがもともと、交通の便もよくねぇのに無理して通勤してたからな。そのまま、あんちゃは会社の近くの街に出て、おらは街に行くと学校が遠くなるからここに残った。」
「そうなんだ…。」
叔父さんは笑顔で頷いた。
車が止まる。
「着いたよ。しぃちゃんおりよう。」
「うん、」
叔父さんが口を開く前に美咲が、すぐに、車から降りる。
「ありがとうございました!」
しぃの言葉に叔父さんはニコリと返し、俺にも降りるようにと進める。
車をおいて来るから、中で待ってろとだけ言って、そのまま、車庫のほうへ行ってしまった。
「お邪魔します…。」
「あらぁ、疾風くん。お久しぶり。しぃちゃんと、美咲はもう中で座ってるわ。」
久しぶりにあった、叔母さんは、妙にニコニコしていた。
「叔母さん、何かありました?」
「ふふっ。今日は疾風くんと、しぃちゃんが来てくれたからご飯の作り街があって嬉しいの。お昼は食べてきてないでしょう?」


