「しぃ、金持って来たよな?」
「うん。電車乗るでしょ?」
「あぁ。わかってんならよかった。」
そして、俺たちは黙って駅までの道を歩く。
始発の電車に乗って、目指していく。
電車の中も会話は無い。
しぃは、寝息を立てている。
きっと、早く起きるためにがんばったんだろう。
「はや…て、泣かないで…」
どうやら、しぃの夢の中の俺は泣いてるらしい。
そして、そうこうしてるうちに、目的地に着く。
小さな小さな無人駅。
「わぁ……自然がいっぱいだね。」
電車を乗り継いで乗り継いで、5時間半くらい。
山の中の小さな無人駅。
今は、11:40。
「叔父さん…遅い。」
約束の時間は11:30。遅れたのは俺だけど…。
叔父さんはいつもなら遅れてもニコニコ待っててくれる。
お前に怪我がなかったならそれでいいって。
「疾風。かにや。(疾風、ごめん。)」


