雨のち晴れ


「しぃ。帰るぞ。」

…え?

もう帰るの…?

「兄貴。目覚めたら連絡くれ。」

「あぁ…わかった。」

神楽にぃも、疾風も…よそよそしすぎるよ?なんでこんなにもよそよそしいの?

あたしの知ってる二人はもっと仲良しだよ?

「時雨…疾風のこと、頼むな。」

神楽にぃがあたしに耳を寄せてぼそりという。

頼むって言われたって…無理だよ。

今の疾風はあたしが知ってる疾風じゃないもん。


あたしの知ってる疾風はバスケが大好きで、バスケをしてるときに、笑ってて。

練習で辛そうな顔を見せても、うまく出来ないことがあっても、克服したらすごく嬉しそうに笑う。

それがあたしの知ってる疾風。

バスケなんてどうでもいいなんていう疾風なんて知らないよ。