雨のち晴れ



「疾風、時雨も来たんだね。」

「久しぶり。神楽にぃ。」

久しぶりなんて、あたしの頭を撫でてくれる。

大きい手のひら。疾風とどっちが大きいかな。

「ぁ!時雨、試作品、おばさんに預けといた。」

「ぁ、うん、ありがとう!」

神楽にぃは、ファッション科を卒業して、今はデザイナーをしてる。

って言っても、仲が良かった先輩が建てた会社にコネ入社、らしいけど。

「親父、起きた?」
「まだだ。」
「しぃと、ゼリー買って来た。親父、さっぱりしたものの方がいいよな?」

あと、日が持つものを選んだ、はず。

「そういや、お前足大丈夫か?」

「一応。練習に参加できるくらいには回復した。」
「無理はすんなよ?」

「してないし。」

なんだか、疾風が神楽にぃに一線おいてるみたい。

神楽にぃが、近寄れなさそうな、そんな感じ…。