「もう!しぃちゃん!今日はおとなしくしてて!」


「ぁ…うん。」

おとなしく、か。

結局そのあと、全部風歌に任せて、

あたしは何もしなかった。

何も出来なかった。

「しぃ、行くぞ。」

「ぁ、うん。」

短い言葉。

あの保津峡との試合の後、足のせいで、全ての試合に疾風は出られなかった。

水瀬との試合も。

「東海大会には、出れそう?」

「…わかんね。」

足の具合そんなに悪いの…?

県大会上位3チームは、6月に行われる東海大会に、2チームは8月に行われる全国大会に出場できる。

あたしたちは一応、全国に参加できるんだけど…疾風…

「もう、どうでも良くなって来た。」

何がきっかけかはわかんないけど…確実に疾風の意識が変わった。何がきっかけかはわかんないけど、確実に疾風が変わった。