スローイン。保津峡ボール
頑張って…。みんな。
あたしには祈ることしかできない。
それが悔しくて、悲しいよ。
ここにいたってコートの上には立てない。
コートの上の気持ちはわからない。
数年前まではあたしもコート上にいれたのに…
「しぃちゃん、ぼーっとしすぎだよ?疾風にぃ、またシュート決めたよ?」
「ぁ…」
相手からのスローインが始まろうとしてる。
「しぃちゃん、ほら、ナイシューって言わないと、他のみんな遠慮してるんだから。」
「な、ナイシュー!疾風!」
苦笑気味な風歌の声に乗せられるように声を出す。
疾風はあたしに、ピースサインを向けた。
そんな余裕ないはずなのに…。
試合中まであたしに気を使わなくていいのに…。
「そんな余裕見せていいの?姫島くん。」
疾風が…抜かれた…?
後ろ誰もいない…!
そうか…疾風を抜くために…
そのためだけにさっきから違和感のある配置、センターと、パワーフォワードの二人を、センターラインから向こう側に置かなかったんだ…
「疾風…!頑張れ…!」
いつの間にかあたしは叫んでて、疾風は南日向を追いかけてて、
「疾風っ!後ろっ、」
後ろから来る敵が転んで巻き込まれた…!
笛の音が鳴り響く。


