雨のち晴れ


「今のところ、南日向は、そんなにシュート決めてないな。」

陣先輩が、スコアシートをのぞきこみながら、疾風に言う。

「何か狙ってるだけかもしれないだろ。」

ちょっと余裕があるかのように陣先輩が笑ったのに対し、疾風が冷たく言い放った。

南日向は、体力を温存してるのかもしれない。

「油断は大敵です。」

「わかってるよ。時雨。」

陣先輩の顔つきが変わった。


真剣そのもの。

そして、第2Qが、始まった…。

メンバーは同じ。

でも、疾風の疲れが最大まで来てる。

それでも、疾風はそれを見せまいとがんばってくれてる。

「疾風…」

「しぃ、待っとけ!」

あたしが、怪我して、バスケができないって、泣いてたとき、同じこと言ってくれた…


しぃ待っとけ!必ず俺が、お前に全国のてっぺんの景色見せてやるから


って。

疾風の言葉、信じてるよ。