雨のち晴れ


「さぁ、今度はこちらから反撃だ。」

保津峡コールがかかる。

あたしたちも声出さないと。

「ナイッシュー疾風!もう一本!」

あたしが大きな声で叫ぶ。

「ナイッシュー疾風!もう一本!」

続くように倫先輩が叫んだ。

みんなも続けて叫び出す。

疾風はあたしたちに向かって、にかっと笑って、すぐに、顔を南日向に向けた。

マンツーマン。

疾風と南日向の体力勝負。

どれだけ体力が続くか…。

とってとって、とられてとって、とられてとられてとっての繰り返し。

繰り返して繰り返して、点数の差は開かない。

2点だけ、リードしてるけど、それもどうなるだろう…

…もうすぐ。10分。第1Qが終わる。

審判の笛の音とともに、第1Qが終わった、

「お疲れ様!」

そう言って平助とトーマにタオルをかける。

今のところ疾風が一番点を取ってる。平助とトーマもそれなりに点はとってるけど、圧倒的に疾風にボールが回っていた。

まぁ、そうさせたのはあたしと監督なんだけど…。

「第2Qも、疾風にボールを回して。で、敵が疾風をさらに警戒しだしたら、トーマと平助で攻め込んで。」

高さでは勝負できないけど、作戦では勝負できるんだよ。あたしたち。