アップの時間が終わり、整列する。
互いの挨拶が響き渡り、ジャンプボール。
陣先輩が、触れたそのボールを平助が取る。
敵を交わして、パスを投げる。
しかしそこにいたのは…
南、日向。
どうして?予測していたの?
「君たちの速攻は、何度も研究したからね。今年は俺たちが君たちに勝って那月をインターハイに連れて行く。」
…研究、
止まった隙にボールが奪えるほど、簡単な相手ではないようだ。
それなら、それだけ、こっちは燃えるんだよ。強ければ強い相手ほど、ってね。
「先取点は、俺たちがいただくよ。姫島、疾風。」
そのセリフとともに、南日向は、疾風を抜いた。
とっさのことに、反射神経がずば抜けている平助以外反応できなくて、
平助だけが、動いた。
「へぇ、こんなに動ける子いたんだ。」
「口を動かす前に足を動かしたらどうっすか?俺はさっきあんたにパスした貸しを返してもらわなきゃいけないんで。」
何を言ってるのかは、断片的にしか聞こえなくなって来た。
でも。一つだけわかる。
平助が、南日向から、ボールを奪った。


