雨のち晴れ


「しぃちゃん!疾風にぃ、アップの時間だよ!」

風歌の一言に、あたしたちは顔を上げて頷く。

気合は十分。

やる気も十分。

あとはやりきるだけ。

あたしは、疾風ならできるって信じてる。

だって、あたしのヒーローだもん。


コートの反面には、もう保津峡はいた。

ミーティングは、した気配がない。

「ひなちゃん、その調子!」

可愛らしい女の子が、南日向に大声で叫んでる。マネージャー、だよね。多分。

「日向、ナイッシュー!」

他の子も口々に叫ぶ。

なんだか、まとまりというより、兄弟みたい。

家族みたい。

「俺たちもやるぞ。」

よく見ると、保津峡は、ベンチから外れた選手が多い。

選手層が…厚い。

それに比べて湧泉は…ベンチから外れた選手は少ない。

というか、15人は、ベンチに入るから…20人くらい?

保津峡に比べれば選手層は、薄い。スタメン以外は下手くそな奴らばかりだし。