「ありがとうございました。ご迷惑おかけしました。」

あれから、なんだかんだ、いろいろ謝ったりとかで、伊豆蔵が泣いたり、時雨や早苗先輩が涙ぐんだりを佐倉の部屋で繰り広げて、全員まとめて帰ることになった。

佐倉は、最初こそめんどくさそうな顔をしていたけど、あいつまで泣き出しそうになった時にはみんなが笑い出した。

あとは…お前だけだぞ…疾風。

「疾風…大丈夫かな…?」

こんなときでも、第一声は疾風なのか…
時雨はいつでも、疾風、疾風、疾風…

俺じゃダメなのか?

疾風じゃないと、ダメなのか?

「しぃちゃん、疾風にぃのことばっかりだね。」

「だって、疾風を一人になんかしておけない。」

「神楽にぃがついてるし、疾風にぃも、もう高校三年生だよ?」

たしなめるように言う風歌に時雨はほおをふくらます。

つい、可愛いと思ってしまうけど、結局、時雨は疾風のことばっかりだ。