「時雨、ごめんね。」

「許しません。疾風と、陣先輩と、伊…暁先輩に謝るまでは。」

そう言ってにこりと笑う。

それにつられて俺も笑ってしまう。

「時雨…姫島に電話かけたい。ケータイかしてもらえない?」

「もちろん。」

…それより、伊豆蔵の姉が昔、神楽さんとセリさんの仲を裂いた…?

「って、陣!病院戻らなきゃ!早く!」

伊藤や、陣が慌ただしく、病院に戻り出したり、佳苗先輩が早苗先輩と伊豆蔵を2人まとめて抱きしめたり…なんとなく、ドタバタしてる。


「早苗、佳苗、全部終わった?」

「えぇ、終わったわ。」

上から駆け寄って2人に抱きつく佐倉は、いつもの、バスケ部員の顔じゃなくて、佐倉祐樹、早苗先輩と佳苗先輩の、弟の顔。

「いろんな顔があるよな…」

俺が呟くと、後ろからついてきたらしい、風歌と、平助、本田が寄ってきた。

今の時雨は女の子の顔で、早苗先輩と佳苗先輩は、弟を可愛がる姉の顔で、伊豆蔵は、素直な女の子の顔で…。

「倫先輩も、いろんな顔があるじゃないっすか。」

にかっと笑う平助と、本田は俺の後輩の顔で、複雑そうに伊豆蔵を見ている風歌は、それでも、妹の顔だ。

「そうだな。」

俺たちは…やっと解決したんだよな…。

時雨のことも、陣のことも…