「早苗先輩!目を覚ましてください。恨むのはあたしだけにしてください。」
伊豆蔵が、泣きながら早苗先輩に抱きついた。
「許してくださいなんて、いいに来たんじゃないんです。謝りに来たんです。そんなんで償えるわけないけど、それしか思いつかなくて、」
泣きながら、嗚咽を漏らしながら、必死に早苗先輩にしがみついて、か細い声で…
「早苗先輩、すみませんでした。あたし、人としてやっちゃいけないこと、たくさんしました。だから、それを償って生きていきたいんです。」
「…雪歩、先輩…」
遅れてついたのだろう、四人が息を弾ませて、後ろからやって来た。
「時雨だけじゃなくて、平澤も、姫島も、あっくんも、傷つけました。」
伊豆蔵は、語り出す。
「ゆるしてくれたかはわからない。でも、あの子たちと話して見たい、笑いあいたい、あたしの思い伝えました。あたし、早苗先輩とも、笑いあいたいです。贅沢ですよね。今までひどいことしておいて。でも本当にそう思うから、あたし…」
「…バッカじゃないの⁈本当に、贅沢ね。もっと、もっと私が恨みやすいような性格しててよ…じゃないと、私、雪歩を許さなきゃいけないじゃない…。今のあんたを恨めないわよ。知ってたわよ。友穂先輩が、あたしを嫌ってることなんて…!」


