「お姉ちゃん…コーチなんてまともにしてません!ファウルはとらないし、トラベリングとかも、わかってないんですよ?お姉ちゃんは、ただ、遊んでるんです。暇つぶしに来てるんです。早苗先輩をいじめろといったのも、お姉ちゃんでした。なんかムカつくから、って…」
「そんなわけないわ!友穂先輩は、相談に乗ってくれた。助けてくれたの。時雨のことだって、相談に乗ってくれたわ。」
…時雨の、こと?
「早苗ちゃん、どういうこと?」
時雨に何かしたって言うなら…俺は黙っていられない。
「時雨が、私からエースの座を奪うと思ったから、どうにか守りたかっただけよ!あの学校にあの学年に!私以外のエースはいらなかったの。わかるかしら。それを言ったらいじめればいいって、精神から壊してしまえばいいって」
時雨のいじめも、伊豆蔵が、主犯じゃないのか?
「雪歩がいじめてたから、被せていじめて。小さないたずらは私がやったわ。雪歩は殴ったり蹴ったりしたから、教科書に落書きしたりとか、それで泣いてる時雨を慰める。私が勝った気分だったわ。」
…!
「早苗…」
佳苗先輩は、泣きそうな顔で早苗先輩に走り寄った。
「早苗も最低よ…。あたし、今の早苗は嫌い…。早苗なんか大っ嫌い!」
泣きながら、早苗先輩を殴って、スッキリしたような顔で、振り返る。
神楽さんに向かって涙を流しながら笑顔を向けた。
「神楽さんも、こんな子をずっと守っててくれてありがとうございました。でも、もう、必要ありません。セリ姉のこと、大事にしてあげてください。」
「…いった…」
しばらく、
絶句していた早苗先輩が睨みながらゆっくりと、起き上がった。


