時雨が去って随分経った。俺たちは、早苗さんに話を聞いていた。
「雪歩は、自分が一人仕組んだことだって言ったわ。でも、きっと裏に誰かいたはずよ。多分、私の先輩あたりの誰か…。」
その話の途中だった。部屋の外が騒がしくなったのは。
「お待ちください。伊豆蔵雪歩だけは、屋敷に入れるなと旦那様から命じられております。」
「そんなの知らない!あたしは、早苗先輩に謝りに来たの!」
その声を聞いて、早苗先輩は、立ち上がった。
そして、扉へと走っていく。
「どこに行くつもり?早苗ちゃん。」
「神楽さん、私…後輩の話を聞いてあげなくちゃ。」
そう言って振り返って俺たちに笑顔を見せた。
神楽さんが後を追う。その後ろから俺と、佳苗先輩。
他はみんなその場に残った。
「早苗…あんなやつ、抹殺すればいいのに…。」
俺も佳苗先輩の言葉に心の中で同意する。


