雨のち晴れ


「美しい友情、みたいなのはお断り。興ざめしたわ。」

「伊豆蔵先輩…」

しぃは、伊豆蔵に向かって手を差し出した。

「先輩、あたしが受けた痛みの一つです。」

…!

しぃが、伊豆蔵を殴った…

「疾風、時雨を、止めなきゃ…」

「こんなんじゃなかったんですよ?もっともーっと、あります。蹴られたし、鳩尾殴られたし、教科書や机の落書きは毎日でした。襲われかけたこともあります。集団で殴られたこともあります。襲われかけた時は、しばらく疾風以外の男子に近づけませんでした。父親さえ無理でした。」

ほら、もう充分傷ついてるだろ。

だから…

仁科時雨を、俺の幼なじみを、俺の好きな人を、

苦しみから解放してくれよ。

「それでも足りねえのかよ…。伊豆蔵は、人間のクズだな。」

わざとなのか、聞こえるような声で、陣が笑う。

「あんたたちわかってんの?今、あんたたちの未来はあたしの手の中にあるのよ?」

「風歌の本当のお姉さんがこんなことしてる人なんて、思いたくなかったな。」

しぃが、ポツリと言った。