伊豆蔵の家。

これで来るのは二度目だ。

大嫌いなやつの家。

相変わらずでかい。

「ここか?」

「あぁ。」

陣の問いかけにゆっくりと答える。

「!追いついた!」

本当は来たくなくて、ゆっくりゆっくり歩いてた。だからだろうか。伊藤が追いついた。

三人、なら、怖くない。はず。

しぃに、誇れる男になりたいなら、こんなところで立ち止まっちゃダメだ、

でも、怖い。

あいつは、今度は何をやらかしてくれるのか。

それがわからないから怖くて、恐ろしい。

「インターホン、鳴らすぞ?」

「あ、あぁ。」

上品な音が鳴る。

出て来たのは、あいつの母親。

「あら、友穂(ゆうほ)ちゃんにご用かしら?友穂ちゃんなら、お友達と、お買い物してるから、ごめんなさいね。」

友穂…あぁ、あいつのお姉さんか。

「いえ、雪歩さんに、用があるのですが。」

「あら、男の子が雪歩に用があるなんて珍しい。どうぞ上がって?」

あいつ、いつも彼氏が途切れることなかったのに…?

珍しい?

「雪歩、雪歩!お友達がいらしてるわよ。」

「誰?」

大声で乱暴に返答が返ってくる。

「そんな乱暴な言い方してはダメでしょう。雪歩。男の子たちよ。3人。」

は?と言う声とともに、ドタバタと降りる音がする。