疾風なら大丈夫。そゆな、心配ないよって顔なんてあたしにはできないよ。
「それより、早苗ちゃん、陣のためにも証言してあげて欲しくて。」
「…いいですよ…。ちょっと、怖いけど。」
雪歩先輩が最低ってことを、証言するの?そんなの意味ないよ。
だって、ずっと、疾風は中学の時から叫んでるんだよ?
「早苗、あんた証言できるの?」
「あの子が、私を陥れてから、ボイスレコーダー、常備してたの。だから、そんなに証拠にはならないけど…少しは、聞いてもらえると思う。」
ボイスレコーダーは、証拠としては不十分。
確かに少しなら聞いてもらえるかもしれない。
「だって、ここに、みんなが集まってるってことは時雨もみんなも、陣くんと、バスケやりたいんでしょ?」
…!
そうだ。
根本的なところを私たちは忘れていた。
ただ、陣先輩と、バスケがしたい。それだけのことを。


