雨のち晴れ


「佳苗…」

「早苗はあいつのせいで…バスケできなくなったのに……。湧泉の女バスは、弱いけど和気あいあいとして、楽しいって言ってたのに…伊豆蔵のせいで…早苗がエースだったってだけで…それだけで潰されるなんて…」

…!

早苗、先輩…

「佳苗、それくらいにして。」

佳苗先輩の後ろから、少し高めの声が聞こえた。

「!早苗、先輩。」

平助とトーマが真っ先に声を上げた。

早苗先輩が、歩いてる。

喋ってる…

目を開けてる…

「早苗!」

佳苗先輩が、早苗先輩に飛びつく。

「ちょ、佳苗離して?」

戸惑ってる…。

懐かしい、早苗先輩の起きてるすがた。

話してる姿。

「早苗、大丈夫なのか?」

「ごめんね。祐樹、心配かけて。あと、時雨。それから、へーくんと、トーマくん。何度も来てくれたって聞いた。ありがとう。」