雨のち晴れ


早苗先輩のところ…?

「早苗、先輩のところですか…?」
『そうよ。佐倉家に向かってる。』

そこで電話は途切れた。

ここ…?

セリちゃんと、神楽にぃは、もともと付き合ってたんだよね?

え、セリちゃん、ここの家とか…?

「どうした?時雨?」

「神楽にぃと、倫先輩、こっちに来てるって。」

「なら、待っとけばいいですね。多分早苗に会いに来るんでしょうから。」

その言葉に頷いてあたしたちは、おしゃべりしながら、神楽にぃたちが来るのを待っていた。

富田先輩は今、佳苗先輩と話をしてるはずだ。

「祐樹ー?」

ぁ、佳苗先輩の声…!

「どうした?佳苗。」

ぁ、ここ、姉弟の、仲良いんだ…。

「入るわよ。…あら、平助にトーマに、時雨ちゃん。」

柴田先輩と同じ学年で、もう大学生なんだっけ…

「お久しぶりです。」

「久しぶり。元気だった?」

「はい!」

トーマと、佳苗先輩がにこやかに話してる。

「…聞いたわ。陣のこと。伊豆蔵の野郎…早苗だけじゃなくて、陣にも手を出すなんて許さない。」