雨のち晴れ


「疾風も、神楽にぃも、おじさん倒れて大変なのに、陣先輩の証拠探しもしてくれてるのか。…ほんと仲間思い…」


ボソッとつぶやくと、その言葉ですら、佐倉君は拾って行く。

なんか、ちょっと怖いな。

些細な愚痴も聞き取られてそう…。

「…風歌、俺、部長に電話かけてみるから、倫先輩にかけてくれねーか?」

「ぁ、はい。平助先輩。」

じゃぁ、あたしは、神楽にぃにかけよう。

「俺が陣先輩にかけるから、祐樹は、伊藤先輩にかけて?」

「はい!」

あれ、みんな電話してんじゃん…。

「…つながらない。」

全然、あちらが電話を取る気配はない。

それは誰もみんなのようで。

『もしもし、』

!出た…神楽にぃ、

「神楽にぃ?あたし、時雨!」

『しぃちゃん⁈セリよ!神楽は今、早苗のところへ向かってるわ。』