雨のち晴れ


そういえば、セリさんってなんていう名字なんだろう。

俺は聖理奈っていう名前しか知らない。

「さてと、どこらへんでボコられたんだっけ?」

「学校近くの駅、か陣の家の近くの駅ですね。」

そこじゃないと、おかしい。そう、伊藤は言う。

なら、

「家の近くだな。」

俺はとっさにそう言った。

ボコられても帰ってこれたなら家の近くの駅に決まってる。じゃないと、
ボコられたまま電車に乗ることになる。

結構ひどい傷だったから、きっと電車には乗れなかったはずだ。

「…倫、ビンゴかも。」

俺たちが駅に着いた頃、そう、伊藤はつぶやいた。

ビンゴ…?

!伊豆蔵と、不良たち…?

俺がケータイを探していると、神楽さんが持っていたカメラでその場所をとっていた。しかも、伊豆蔵の顔のアップも。

笑ってる。

伊豆蔵はいつの間にか去って行ったようで、伊藤と、神楽さんが近づいて行く。

あれは、湧泉の制服だ。

「ねぇ、お兄さんたち。ここを通りたきゃ金払えよ。」

「通りたいんじゃない。君たちに聞きたいことがあってね。」

神楽さんが穏やかに言う。でもその穏やかさが今はなぜか怖くて怖くて。

「君たち、陣ってやつ、知らない?平沢陣。」