そして、付き合って2ヶ月過ぎた頃だった。
「陣の家に行きたい!」
芽衣子のわがままが始まった。
しかしこればかりは無理だ。
「それだけは無理だ。俺ん家、母親いるから。」
「なに、陣、昼間からなに言ってんの!」
あぁ、そうか、女ってもんは昼間っから盛るものなのか…なんて考えながら、でも、家には来ないようにと、言葉を紡ぐ。
そうでもしないと…本当に来ていいと言ってしまう。
「もしかしてお母さんが怖いの?陣の女嫌いの理由って、お母さんからの虐待なんでしょ?」
「あんな女…母親だとも思いたくねぇ。」
思いたくないけど、それが真実だと告げるように言う。
「あたしがついてるから…大丈夫だよ…?」
「…それに、あの女は関係ない。悪い。今日はもう放っておいてくれ。」
そう言い捨てて、俺は暁の家へと足を進める。
「陣…一人にしないで…あたし、怖いの。」
「は?」
いきなり泣き出した、芽衣子をどうすることもできなくて、俺は右往左往するしかない。
「とりあえず、どこか行こう。」
そう言って俺には似合わないような喫茶店に入る。
「あたしね、ストーカーされてるの…。毎日のように付け回されてて…。ここ何日かは、写真とか送られてきて。しかも…全部陣とのデートの写真で、陣の顔は全部、ぐちゃぐちゃに塗りつぶされててっ…」
「なんで早く言わなかった?」
「幻滅されると思って…」


