女って奴は本当にめんどくさい。
でも、芽衣子だから、いつもそう言葉にした。
ついつい話してしまっていた。
「は?お前がボコられた?」
「んまー、正確にはウチのやつが殴られてて、僕が間に入ったら殴られちゃったんだよね。…まぁ、潰せばいいんだろうけど…ただ、気になることがあってね。」
「気になること?」
おかしい、いつもなら、俺にそんなこと言わない。
なのに、なぜだ?
「…ひとりがさ、芽衣子のおかげでヒガシの有力なやつはつぶせそうだなって、つぶやいたんだ。陣…めーちゃんに、なに教えたの?」
芽衣子に教えたこと…
「ヒガシのやつらの顔の特徴とか、背丈とか…あと、住んでる場所とか…」
「⁈それ、言ったの⁈」
「流石に住んでる場所は言ってねーけど。背丈とかは言った。」
…あれ?俺、利用されただけ?
いや、そんなわけない。
だったら付き合う前から利用されるはず。
芽衣子って名前どこにもいるんじゃないか?
「陣、しばらく、めーちゃんに、何か聞かれても答えちゃダメ。」
「…俺に命令すんなよ。」
「とにかくダメだから。」
俺はその言葉すら無視する。
きっと自分には彼女がいないから、ひがんでるんだ、なんて本気で思った。


