次の日。
「陣先輩!俺の友人っす!」
…お、女?
ぱっちりした二重まぶた。
長い髪。
ふくよかな胸。
女だ女。
いや待て、俺の女嫌いは有名なはずで…。
「榊、榊芽衣子です。陣さんが、女嫌いっていうのは知ってたんですけど…どうしても会いたくて…お礼を、言いたくて。」
「れ、礼なんか言われることしていない。早く帰れ。」
あぁ、近寄らないで欲しい。
声を出さないで欲しい。
「いえ、あなたは…一度あたしを助けてくれました。初めてのことで怖くて怖くて、お礼を言えなくて…。」
…ぁ、あの時だ。
でも、あの時助けたのは俺じゃなくて、暁だ。俺は女の顔を見たくなくて、前に立ってかかってくる相手をなぎ倒しただけだ。
「好きなんです…。あなたが。あの時の姿が忘れられないんです。」
「わりぃけど、俺、過去のこと引きずりたくないから。金輪際、ここに近づくな。」
ここは俺の島だ。


