「って…」
痛い…。痛い…。
…嫌だ。やめてくれ。怖い…怖い?
ただ、殴られて殴られて、
ははっ、もう嫌だ。痛い、
体だけじゃない、心も痛い。
「陣はママのもの…」
そう言うと同時に……
唇に柔らかい感触。
あれ?俺なにしてんだ?なんて考えてたら、いつの間にか上半身に手をかけられて、
あぁ、ヤバい。
テンパってるような、違うやうな不思議な感覚。
「俺は…お前のものじゃないっ!」
近くにあったもので殴りつけた。
それと同時に、母親の動きは止まる。
俺は、部屋へと逃げ、親父に即座に電話した。
もう限界だ……!
それでも親父は帰って来れないと、申し訳なさそうに言った。俺は窓から家を抜け出し、着替えと財布、携帯、それから、俺専用の通帳を持って、暁の家へと向かった。
それしかなかった。
暁は何も言わずにただ、窓から部屋に入れてくれた。


