そして、俺たちは事情を話し始めた。
「疾風と、陣と暁と、赤羽は同じ部活なのね。それで、陣が女の子を襲ったという、噂が流れてる、と。…ちょっと強硬手段でなんとか話させてもいいけど…どうする?」
「なにをしてもいいっす。あいつが無実の証拠を探すためにも、あいつの証言がいる。」
確かにそうだ。
…強硬手段って、なんなんだ?
「陣、手を出して。」
そう言って、陣の手をつかむ。恐る恐る手を出した陣に向かって笑って、セリさんはニヤッと笑って胸へとゆっくり手を近づけ…って、え⁇
陣の顔真っ赤なんてとこじゃない。茹でたこみたいになってるし、てを戻そうとジタバタしてるし、
「まだ、女の子苦手みたいね。なのに襲うなんて根性良くあったわね。あたしですら触れないんだから。」
「いや、だって…その。」
「本当はまた裏切られるのが怖いんでしょ?誰かに裏切られたくないから、あたしの行った高校は受けずにに湧泉行くって言ったんじゃない。なのに、今、陣は裏切ろうとしてる。それは、いいの?ダメでしょ?」
…裏切られたくないから…、話さない?
なんで俺たちが陣を裏切るんだ。裏切るつもりもないけど、裏切る理由もない。
陣が陣である限り、俺たちは味方なのに。
「聖理奈さんには、叶わないっすね…」
少しははっ、と笑って陣は涙をまたこぼした。


