雨のち晴れ


それから、1時間くらい、陣の病室で待ってると、めちゃくちゃ美人さんが入ってきた。

「聖理奈さんっ!」

「陣、大丈夫?」

高めの心地いい声。

「お久しぶりです。あの、えっと」

「陣、あんたボコったのだれ?あたし直々に返り討ちにしてあげるから。」

ヤバい。なんか、なんか敵に回したら嫌な人だ。

おとなしくしておくに限るな。

「暁、あんた一緒にいなかったの?」

「…すみません。」

答えになってない。

それほどこの女の人はヤバいのだろうか。

「疾風ぇ♡久しぶりっ♡電話ありがとね。もぉ、疾風が頼ってくれるならなんでもするわ♡…しぃちゃんは?」

「しぃなら、来てないよ。セリちゃん。」

ハヤテの言葉遣いが優しい…!

…それより早く本題に入った方がいいのでは…?

「まぁ、浮気男がいるのが気に入らないけど、仕方ないわね。この子は?」

お、俺?

「赤羽倫。」

「女の子みたいに可愛い名前ね。」

…うぜ…初対面でそれはないだろ。

「あたしは、聖理奈。セリでいいわ。よろしくね。倫。」

「よろしくする気はない。」

怒らせたらやばそうな人なのに、俺の口はそう言っていた。

「セリちゃん、こいつ、名前呼ばれること嫌いで自分が認めた人以外呼ばせないから。」

「そうなの?ごめんなさい。気に障ることを言ってしまったわね。でも、あなたの名前素敵よ?気にしなくていいわ。赤羽。」

思わず、拍子抜け。

神楽さんにそっくりだ。

神楽さんも同じようなことを言ったんだ。