「…!陣、神楽さんになら話すかもしれない。陣は神楽さんにすごく憧れててっ、僕以上に憧れてたんだ。目があっただけで、僕に報告しに来るくらいで!」

あんな兄貴に憧れって…

でも、兄貴にかけるのもありかもしれない。それしか方法がないなら。

それが一番いい方法なら。

「ねぇ、明日にでも神楽さんに会えないかな?」

「聞いとく。多分いいと思うぞ?」

俺が中学の頃、そういえば兄貴の弟だって言えば学校でカツアゲされることもなかったな。まぁ、カツアゲするようなやつは学校自体きてなかったし、やっぱり、時雨の方が目立ってたしな。

「兄貴のどこがいいんだか…」


頭いいのに、不良の道に突っ込んで、喧嘩ばっか強くなって体力ばっかあって、なのに、走ることしかできない運動音痴で。

最終的には頭いいくせにファッション科とか、わけのわからないところに行ったやつ。

「神楽さんはすごいぞ。」

ニコリと笑いながら、伊藤は、言いはった。