疑問を残したまま、俺は伊藤と病院を出た。

「は、疾風!お前、神楽さんの弟だったんだな!」

「神楽……さん?」

いや、兄貴にさん付けとか…別にいらなくね?

あいつだし。

「東中の憧れなんだ。この街にはさ、中学が、12個あるだろ?その中でも、四天王ってのと、さらにトップに立つ頂点がいるんだよ!」

俺バスケ一筋だったからわかんねーな。

「北に千景、南に日向、西に聖理奈、東に神楽って!頂点はまだ誰も知らないんだけどな。」

東の方といえば、俺たちの中学である、本郷中、東郷中、私立水瀬中学、千歳中、この四つくらいか?

「神楽さんほどかっこいいやつはいないよな。しかも、当時は聖理奈さんと付き合ってて…!」

「聖理奈…ぁ、セリちゃんなら、高校入学と同時に分かれてたぞ。それと、それから兄貴は女を取っ替え引っ替え。」