「疾風…僕は外にいるね。」

「え?ぁ、あぁ。」

俺は頷くだけだった。

「疾風、伊藤くんもバスケ部か?」

「あぁ。そーだけど。」

「何処かで見たことある気がする…!」

兄貴は20。伊藤は、俺と同い年の17。三つ違う。学年だって、三つ違う。

学校だって、兄貴は俺の行ってる湧泉じゃなくて、少し遠い私立の水瀬高校の、ファッション科に行ってたし。よく、石蕗千聖?とかいう真面目そうなイケメンが正反対っぽい兄貴と歩いてることあったし。

伊藤と兄貴に接点なんか、ないだろ。

「…あの子、何中?」

「東郷中。」

「ヒガシか。なら納得だ。」

?ヒガシなら納得?

水瀬から近いわけでもないのに。