雨のち晴れ


「じゃ、俺病院行く。」

そう言って立ち上がる。

親父の様子と、陣の様子。

両方を見る。

「疾風…僕も。僕も行く。」

いつもなら、関係ないというような態度を取る、伊藤が、立ち上がった。

「僕も、陣のところにいく」

「あぁ。」

しぃと、風歌のことは、倫にまかせ、俺たちは立ち上がる。

てか、この屋敷から抜け出せるか自信がない。

「ぁ、この部屋出て、右にまっすぐ行くと階段があるので、そこを降りて、目の前が玄関です。」

「あぁ、さんきゅ。」

言われた通りに進んでゆく。

あぁ、言っていた通りだ。

「お帰りですか?」

「ぁ、はい。」

「坊っちゃんにご学友がいてよかったですわ。これからも坊っちゃんのことをよろしくお願いしますね。」

…?ただのメイドの割りには、心配性だな。

「あの、佐倉、何か昔あったんですか?」

失礼だとは思いながら聞いてみる。

「あら、聞いていらっしゃらないのですか?……坊っちゃんが仰るまではあなた方の秘密にしてくださいね?」

そう言って、俺たちを家の外へと押し出した。

「?どこへ…。」

「私の家です。お屋敷の隣にあります。」

職場の横って…

「さて、まずは、私は八瀬愛理と申します。」


八瀬、さん…?