雨のち晴れ


「それは嫌だよ!でもここで諦めて、陣先輩だけ試合に出れなくなるのもいや!」

「陣は…自分を優先してまで僕たちに棄権して欲しいって思うかな?」

伊藤がポツリという。

「いわないと…思います。」

トーマが小さな声で、でも響く声で言う。

あいつは、優しい。自分のことより他人のことを優先する。

もしかしたら、伊豆蔵に…脅されてるのかもしれない。

「僕…陣がいないなら試合に出る意味なんてない、と思う。」

「俺も。全員揃ってないと、意味はない。」

しぃの顔がパッと明るくなる。

「立てこもりでもなんでもできることをすればいい。それで、陣が戻ってくるならさ。」

倫が言った。
その言葉に、みんなが頷いた。

やっぱり、バスケ部の絆は堅いんだと、実感した瞬間。