「伊藤に、風歌?」

「大変!しぃちゃん、疾風にぃ、陣先輩、見てない?」

陣は、家に帰ったはずじゃ…?

「見てねぇ、よな?」

「僕たちが来た時には家に帰っててもおかしくないはずなのに…いないんだ。電話をかけてもでないし、誰もいないし…。」

…誰もいない?

「なんで誰もいないんだ?あいつの母さん、専業主婦だろ?」

倫が驚きの声を上げる。

「買い物かなんかじゃないんですか?」

しぃの純粋に問う声。確かにそう考えられる。

「今の時間考えろ。13:30つったら、たいてい、昼ドラを見た後だ。」

まぁ、全員が全員見ているとは限らねぇけど。
そう言いたいのを我慢し、陣の家を見上げる。

「あら、伊藤くん。疾風くんに、赤羽くんに、時雨ちゃん。学校はどうしたの?」

「今日は、半日で終わったんです。あの、陣は…」

「陣?そういえば、みんながいるのに、陣は帰って来てないわねぇ…。…帰ってきたら、連絡しようか?伊藤くんは、携帯番号知ってたわよね。」

「はい。お願いします。」

俺たちは陣の母さんに約束をし、佐倉の家へと向かった、