「しぃちゃん!大変!」
風歌が、かけてくる。
何が大変なんだろうか。
バスケ部では何も怒ってない。
「陣先輩が…。陣先輩が…。」
「何言ってるのか、わからない。ちゃんと言って?」
「陣先輩が…女の子襲ったって…。」
「は⁈」
陣先輩が女の子を襲うわけない。
だって、あの人は今でもあたしがさわれない。
二年ずっと一緒にいたのに…
「嘘でしょ!」
「噂になってるよ…先輩は黙秘してる。」
おじさんも、まだ目覚めてなくて、疾風、大変なのに…!
あたしがしっかりしなくちゃ。
疾風のいない部活はあたしが守るんだ。
「時雨!」
「聞いたか⁈平澤陣先輩のこと!」
「今、風歌が、教えてくれたよ。」
「襲われたって言ってるの、伊豆蔵雪歩先輩なんだって!」
雪歩先輩の家はお金持ちだっけ…
この学校は公立だから潰すことはできないけど…先生たち数人を買収するくらいなら楽勝だと思う。
しかも陣先輩を選ぶあたり、かなり回りくどい。


