雨のち晴れ



「時雨?」

「あたし、男バス行きますね。」

それだけ言って、あたしは雪歩先輩の前を通る。


「ゆき、待ってる!時雨、本当はバスケできるんでしょ?膝、治ってるんでしょ⁈ゆきは、時雨のプレーが大好きなの!だから、待ってるからっ!」


あたしは返事をしなかった。


返事をしたくなかった。


大嫌いなの。


そんな偽善。


偽りの正義なんていらないんだよ。

雪歩先輩。


「ゆきだけじゃない、みんなま「黙ってください。雪歩先輩?あたし、キレますよ?」

雪歩先輩だけじゃない?何バカみたいなこといってるの?


雪歩先輩も待っていないでしょう?

あたしを認めてくれるのは、由奈と男バスだけでいいの。


だって、それがあたしの世界だから。