「雨!」

今日は、なんていう日?

クラスメートがあたしに話しかけるなんて、珍しいなんてものじゃない。

ありえないこと。


「雨…!」


次々に発せられるあたしを呼ぶ声。

あたしはただ

屋上に立っているだけなのに…。

「そのフェンス、超えちゃダメだからね⁈」

「雨のくせに由奈の分まで生きずに死ぬとか許さねーからな?」

由奈の分まで…生きる?

「あんたさ、由奈が死んだ後、クラス全員に向かって言ったじゃん。」

あぁ、そうだ。

あたしは言い切ったんだ。


ーーーーあたしは、由奈の分まで生きる。それが、あたしのすべきこと。

そうだよ。

だからあたし、今まで死ねなかった。

死ななかった。

「それ聞いてから、雨のこと、勘違いしてたことに気づいたよ。」

一人一人が、あたしに寄ってくる。

「今までのこと、謝るだけじゃ済まないと思う。でも、」

「2年1組には、仁科時雨が必要だ。」