「由奈…。ごめんね…。」

あたしは屋上でフェンスにもたれかかる。

由奈は屋上から見える大通りでしんだ。


赤信号の時、誰かに押されて、前に倒れてそのまま突っ込んできた車にひかれた。

見たくないものを見てしまった感覚。

「は、はは。」

由奈の代わりにあたしが死ねばよかったのにな…。

由奈、ごめんね。

由奈…。

「!やっぱり…。しぃ、」

「疾風…。」

由奈はここにはいないみたい。

自分の死んだはずの場所なんて見たくないよね。

当たり前か。

「戻るぞ。平助が心配してる。」


「…うん…。」

戻りたくないよ。由奈が、死んでもここにいることを、わからない人たちのところなんかに。