深い深い海の底

水圧は物々しく

瞼の意味すらわからない

鼓膜は金属音を響かせ

言葉は泡と成って消え行く

息苦しいなんてものじゃない

其処にあるのは底と恐怖

一筋の光すら寄せ付けない

其れが『心海』であり、『心界』


僅かな希望は其処にある底

ここまで沈めば、辛うじて

上下感だけは悠々と存在する

ただ、蹴り上がるにも程遠い

死んだら浮かび上がるだろう

短絡な思考は餌に消える


心界の其処が見えるのならば

深海の底を見てみるがいい

底(其処)には……

様々な生命が息づいている

進化とはそう云う物

退化は目覚ましい進化だ

本当の後退は『変わらない』事

其処(底)で生きるのか

底(其処)を蹴り上がるのか

いっそ退化でもしてみたらいい

目を無くしても泳ぎ続ける

あの魚のように……





笑夜