親族からのプレッシャー、部下からの期待。全てに答えなきゃいけなくて、完璧を求められて。



「夢さん…。」



名前を呼ぶと、ゆっくりと瞼が上がってエメラルドグリーンの瞳が私を見つめる。



「…僕は欠陥品だ。幸せになんかなれない、なる資格もない。」



「そんなことないっ!」


夢さんはもう立派な男の人だけど、独りで泣いている小さな頃の夢さんが透けて見えるような気がした。



「もう、いいよ。ありのままの自分を受け入れて…。もう一人じゃないから。私がいるから。」




涙で視界が淡く滲む。



何が大丈夫なのか、私がいることで、何が変わるのか分からないけど、無我夢中で「大丈夫、大丈夫。」と何度も繰り返した。



もうこの人を一人にさせない。