そして私の唇の中に侵入する柔らかい舌。



気持ちいい…と感じる私は、どうかしているんだろうか。



かすかにコーヒーの味がする滑らかな舌に翻弄される。



「…夢って呼んで。」



まるで喉から声を絞り出すかのように明王寺さんは呟いて私の体をギュッと抱き締めた。




「夢…さん。」




私は熱に浮かされるように呟いていた。




「…もっと。」




そう言う貴方が泣きそうな声をしているから。




「夢さん。夢さん…。」



私は何度も囁いた。私の頬をコワレモノに触るように撫でる指先が、とても冷たくて。寂しそうで。



なぜだか私が泣きそうになってしまった。