キミがいるから。

入学式から、約2週間たった。
今日は、席替えの日。
朝からみんながざわついている。
菜未は、新しく友達になった彩香と話していた。
「誰の隣になるんかなー⁇」
短い艶やかな黒髪のぷくっとした色白のほっぺのいかにも和風の日本美人みたいな外見の彩香が言った。
「変な人やったらどーしよー!」
菜未は、不安げに言った。
「さいあくになるね!
まあ、菜未はかわいーから男が
惚れるかもね!」
「あ…あやかちゃん‼
そうゆうのやめてよー////
かわいくないってば!」
顔を真っ赤にさせながら菜未が言う。
「そういう所がかわいーの!
罪だねまったく。現に……」

キーンコーン…

「はい、席つけー」
だるそうな声で担任が言う。
「なっちゃった、またあとで!」
にやっとしながら、彩香が言った。
「な、なにー?もおー…」
ぷぅっとほっぺを膨らませながら
菜未は、すねていた。



結局、HRで、席替えの仕方を決めて
1時限目に席替えをする事になった。


菜未は、HRが終わったら
真っ先に彩香の元に行った。

「あやかちゃん!
さっきの続きおしえてよ〜」
うるっとしたひとみで菜未が言った。
「んー、なんか菜未おもしろいから
教えなーい。」
いたずらっぽく彩香が答える。
「ま…真面目に言ったのに〜!」
ますますひとみがうるうるしている。
「はいっ!もう、おしまい。
はやく席戻る!」
彩香は、残念そうに席についた。



席替えの決め方は、無難に
くじ引きだった。
みんな慎重に紙を選んでる。

あ。彩香が引いた。
すっごく残念そうにしてる…

菜未の番になった。
紙を一枚選んでひいてみた。
かさっ…

22とかかれていた。

菜未は、その数字と同じ席に座った。
みんなまだ自分の番号と確かめている。
菜未は、すぐに分かった。
だって1番後ろの窓際だったから。

「すっごくいい席っ!」
菜未は、隣がはやく来ないか
わくわくしていた。

「あ、なみっていうん?」
「隣の席っつー事でよろしくな。」

ざわついた教室の中でもひときわ
目立った低くて透き通った声。


「え…?あ、はい、ん?
こちらこそ…よろしくお願いします…」

菜未は、すごく焦った。
だって、隣の席の人は……


陸斗だったから。