「…一条さん。」


聞き慣れない声色で名前を呼ばれて、ゆっくり首を回す。


「はい。
…私に何か?」

相手の気を悪くしない為に、不自然かもしれないが口角を少々上げて微笑んで見せた。

すると向こうに立っていた相手は怯むように、ハッと息を呑む。

そんな様子の相手に意を衝かれた私は、ただジッと佇むことしか出来なかった。