私は流の姿を確認して、慌てて出て行った。

脱衣室でも慌てて着替えて、帯まで結んだ所で、目眩がしてブッ倒れてしまった。

「キャァッ!」

やっぱりのぼせた。

興奮状態で長湯したせいだ。

ボンヤリしてクラクラして...もうだめだ...動けない…。

きちんとした頃に、流の背中に私は居た。

「あれ、私...」

「おっ、気が付いたか、茹で蛸?」

これこそ、まさに恥ずかしい。

この年で、同じ年の男におんぶされてる。

「もう部屋に着く。横になれるぞ」

「あ、ありがとう」

部屋を開けると二つの布団が、バッチリくっ付けて敷かれていた。

ヒェ~ッ!

私は恥ずかしいから、さっさと布団に横たわり顔を隠して目をつむった。

「今夜は早めに寝た方がよさそうだな」

流のタバコの匂いがする。

私はその匂いに安心して、そのまま目を閉じた。

しばらくして電気が消える音がした。

軽い風を感じて、少しずつ目を開けて見ると、目の前には流が横になっていた。

頬杖をついて、片手にうちわで、私に扇いでくれていた。

「流?」

「何だ?」

何で、そんなに優しいの?

「流も、もう寝ていいよ」

「俺は眠くなったら寝る」

何で、こんなに安心するんだろ?

「流って私より歳上みたい」

「そうか?笑がガキっぽいんだろ?」

「違うもん、流がオジサンなんだもん」

「じゃ笑はオバサン?」

「オバサンじゃないもん」

「本当の笑は、どっち?」