男と視線がぶつかった。

顔を近付けてきた。

キ、キスされるの私は!?

と思った途端、

「ここは俺の会社で、おまえは部外者。後先考えない行動して本当に危ない目に合う前に、さっさと帰れ。いいな?」

えっ?

な、何よコイツ!
このバカ!

「ヘンタイ!」

私は恥ずかしくなって叫んで逃げた。

走って猛ダッシュで、自転車をこいで帰った。

キレられて、犯されそうになったと思ったら急に説教されて、何で私がこんな目に合わなきゃならないのか。

悔しさと怒りが込み上げる。

でも、あんな事どうしてするんだろう。

衝動的にしては、凄く落ち着いていた。

きっと、私と同じの30代だよね。

独身者なのかな。

女性に餓えている孤独な男?

あんなの当たり前じゃない。

どうしたって、あんな毒舌野郎は独身でしょ。

顔は...。

確かに顔は、きれいな顔してカッコよかった。

背は...。

確かに背は高くて、痩せててルックスは悪くはない。

声は...。

確かに、まだ耳に残るくらいに良い声してた。

でも、ダメ!

絶対ダメ!

優しさの欠片もない。

あんな感じの悪い男は絶対ダメ!