流はそんな私に気が付いているのかいないのか、素知らぬ顔して運転している。

「高台にあるホテルだから、上の階が空いていれば夜景も見れる...笑の古臭いロケーション通りだろ...」

「...うん...」

「夜景の見えるホテルで名が知られているらしいから、最上階から部屋は埋まっていくそうだ...」

「...うん...」

「チェックインできる時間から...」

「...うん...」

どうしよう。

どんどん時間が流れて、その場所へと近付いていく。

心臓が痛い。

胃が痛い。

「笑?」

「...うん...」

私は流が好き。

でも、大好きな人にこんな私を見せるのも恥ずかしいし。

それに大好きな流のタンクトップ姿ですらも鼻血出ちゃいそうだったのに。

私は俯いて深く溜め息を吐く。

流は何も言わず黙ったまま、真っ直ぐ運転していた。